私は人ではない。
しかし神でもない。
人である母と神である父が私を産んだ。

2人は愛し合っていた。

母は神である父を。
半分神である私を受け入れられず死んだ。

父は人である母を愛したことで死んだ。
神と人の交いは大罪である。

私は1人残された。

母は裕福な家庭だった。
神事を執り行い、その村の発展を担っていた。

母は死に際に私に付き人をつけた。

名は×××××××という。

2つ3つ上に見えた彼女は端正な顔立ちである一方で、笑わない人だった。
常に悲しげな表情を浮かべ、陽射す場所より影を好んだ。

そんな彼女を私は愛した。
彼女は私を愛してくれた。

しかし、私は人でありながら神であった。
多くの命が枯れ失われゆくのを見る立場であった。

彼女は死んだ。

私は1人残された。

死に際の彼女はやはり悲しげだった。
死に際の彼女はごめんなさいと言った。

数千の時が経った。

私は1人だった。

人々は私を崇拝する。
私は人々の願いを叶えた。

畏敬など私はいらなかった。

再び数千の時が経った。

人々は神を忘れた。
神が地を照らさずとも、でんきとやらが照らすらしい。
神が雨を降らさずとも、すいどうとやらが飲水を与えるらしい。

人々は神を忘れた。

私は天に昇り、3つの光を見つけた。

笑顔が素敵だった。