年の頃は高校生くらいだろうか。
可愛らしい容姿ではあるが、垢抜けてはおらず真面目な印象だ。
きっとナンパに慣れていないのだろうと悟った陽は、少し面倒だが、純粋な少女が騙されてひどいことになるのはかわいそうだと、ふたりの元へ歩み寄った。
そして、椅子に座り戸惑う少女の横に立つ。
『ダサいナンパ方法で俺の女を口説くのはやめてくれ』
ファッションとしてかけている伊達メガネのアーチを指で押し上げ、堂々と『俺の女』と言い切った陽の登場に困惑を隠せない様子の少女。
とりあえず、少女から否定の言葉が出てこないうちに『彼は知り合いか?』と問えば『それが、思い出せなくて』と答えた。
『わからない? 名前を聞いても?』
いかにもチャラそうなナンパ男に促すと『お、お前が先に名乗れよ』と落ち着きをなくし面泳がせる。
『俺は、み……鳴瀬だ』
御子柴の家のためにも、うっかりトラブルのタネを蒔くわけにはいかない。
なので、陽はあえて母の旧姓を名乗った。
嘘がバレると思ったのか、はたまた面倒になったのか。
結局、ナンパ男は名乗ることはなく用事があると告げ、身を翻しそそくさと去っていった。



