(聞いたら、答えてくれるかな……?)


お前には関係ないと鬱陶しがられる可能性があった為、そっと元気付ける方向で頑張っていたが、もう限界かもしれない。

不甲斐なさに肩を落とした紬花の唇から溜め息が溢れると……。


「どうしたらまた、前みたいに笑ってくれますか?」


無意識のうちに、声に出していた。

陽の瞳が、紬花を捉える。

暫くの間、まともに紬花を映さなかったその双眸が。

しかし、紬花の視線は片付けようと重ねた食器に落とされていて気づくことはない。


「それは、俺に言ってるのか?」


その問いに、紬花は弾かれたように顔を上げる。


「え? あれ? 私、声に出してました!?」

「そこそこ聞き取れる程度にはな」


ふい、と、再び陽の視線は紬花から外れたが、「ごめんなさい!」と慌てて謝罪され、迷うように揺れてからまた戻された。


「……で?」

「え?」

「なぜそんなことを俺に望むんだ」

「なぜ、と言われても」


呟いて、紬花の手が重ねたお皿からゆっくりと離れていく。