「仕方ない。だが、役に立ったかどうかは俺が決める。必要ないと感じたら、今後、風呂は手伝わないと約束しろ」
「はい、わかりました」
相変わらず鏡に向かって頷く紬花を浴室で少し待つように言って押し込むと、陽は羞恥心を捨てシャツのボタンを片手で器用に外していく。
(さっさとダメ出しして追い出すか)
合格など出すつもりは毛頭ない。
早いところ背中を流させて残念な結果を突きつけてやろうと裸になると、ギブス用の防水カバーを装着し、どうにか腰にタオルを巻いて浴室の扉を開けた。
「準備できました?」
「ああ」
浴室に響く静かな陽の声に、紬花は口元に笑みを浮かべて両手を合わせる。
「御子柴さんは、先に頭を洗います? 身体?」
「先? 頭からだな」
いつもの自分の洗う順番を思い出して答える陽に、紬花はひとつ頷いた。
「わかりました。じゃあ、私の手にジャンプーを乗せてもらっていいですか?」
お願いしますと手を差し出す紬花に、陽は驚き目を見開く。
「背中だけじゃないのか!?」
「え? 頭も洗いづらいですよね?」
洗うのは当然だとばかりの口調で首を傾げられ、まともに相手をしていたら疲れそうなので渋々愛用のシャンプーを紬花の手に出した。



