「これ、見つけてくれたんですか?」
以前、陽に写真を見せたことがあった。
このドレスとの出会いが、紬花にデザイナーの道を示したのだと話して。
だからもしや探してくれたのだろうかと驚いたのだが、陽は首を横に振った。
「そうじゃない。これは、俺の作ったものだ」
「えっ!?」
「大学時代、紬花と出会って、紬花をイメージして作った、紬花の為のドレスなんだよ」
将来を悩んでいた陽は、紬花のやりたいことを諦めず実行していく姿を見て、デザイナーとしての夢を貫こうと決めた。
そして、そんな紬花への感謝と想いを形にしたのが、このドレスなのだと陽は語った。
まさか、自分に夢を与えたウェディングドレスが、自分をイメージし、自分の為に作られたものだったとはと、紬花はいまだ繋がれたままの陽の手をキュッと握る。
「嘘みたいです」
再会でき、恋人という関係になれただけでも奇跡だと思っていたのに。
「だろう? 俺も、お前がこのドレスを見てデザイナーを目指したと聞いた時には、そう思った」
紬花の為に作ったドレスが、紬花を自分の元へと導いたのだ。
それは、奇跡であり、運命なのではないかと。
それならばやはり、紬花を諦めるわけにはいかない、と。
「ありがとうございます、陽さん……」
感動で潤んだ紬花の瞳に、愛おし気に微笑む陽が映る。
「紬花、近い将来これを着て、俺の隣に立ってくれるか?」
普段は少し鈍い紬花でも、その言葉がプロポーズだと十分に伝わり頬を染めてはにかむ。
「もちろんです!」
言葉と共に頷き快諾すると、紬花はたまらず喜びのままに陽の腕の中へと飛び込んだ。
ふたり、幸せそうに笑みを交わし合い口づける。
愛していると、繰り返し囁き合うように。
そして、一年後──。
「紬花、おいで」
運命のウェディングドレスを纏う紬花が、優しく差し伸べられた陽の手を取ると、幸福を約束する鐘の音が響いたのだった。
【FIN】



