俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない


床には赤ワインのような色の絨毯が敷き詰められていて、花嫁が歩いたら絵になりそうだなと紬花が考えていると、目的地に到着した。

アトリエに続く白い扉を開けると、足を踏み入れる前に陽が紬花を振り返る。


「目を閉じててくれるか?」

「目を? なぜですか?」

「いいから。俺がいいと言うまで開けるなよ?」

「わ、わかりました」


一体何が目的なのか紬花にはさっぱりわからないが、わざわざここまで連れてきたのだ。

アトリエならば、仕事に関わる何かではないか。

どんなものが見れるのかと、高まる気持ちを抑えるように瞼を閉じると、陽がゆっくりと紬花の手を引いてアトリエの中へ誘導する。

扉が静かに閉まる音がし、また数歩歩いて……ピタリと、足が止まった。


「開けていいぞ」


許可が出て、紬花がゆっくりと瞼を開くと、飛び込んできたのは一着のウェディングドレス。


「……え……これ……この、ドレス……」


大きなバックリボンと、上質なレースたっぷりと使ったボリュームのあるティアードスカート。

シルクフラワーの可憐なヘッドドレス。

初恋の相手との再会を願った先で出会った運命のウェディングドレスが、今、紬花の前にあった。