紬花が陽の熱っぽい唇に夢中で応えていると、「くそ、ダメだ」と呟いた陽。
「何が」と問う暇もなく、紬花の華奢な身体を陽は横にして抱き上げた。
「ま、待ってください陽さん! 腕! 大丈夫ですか!?」
「大丈夫だし、待てない」
互いに想いを通わせるようになってから今日まで、腕を負傷していたせいで、紬花とは唇を合わせるだけとしてきた。
例えば別々に住んでおり、仕事が忙しくてなかなか会えない関係ならそれでも良かっただろう。
しかしながら、紬花とはひとつ屋根の下で寝食を共にしているのだ。
よく耐えた方だと、陽は今日までの自分を褒め、自らの寝室へと紬花を運ぶと白いシーツの上に下ろした。
自らも乗り上がれば、ぎしりとベッドが微かに音を立てる。
「陽、さん」
紬花は、自分に覆いかぶさる陽の瞳が欲に濡れているのを感じて、陽が求めるものをが何であるのかを悟った。
心臓が口から吐き出そうなほどに緊張が高まる。
陽に縋りつきたいような、逃げ出したいような、自分でもどうしたいのかわからずにいる間に、唇が塞がれてしまう。
陽が口にしていたワインの芳醇な果実の香りが伝わってきて、飲んでいないのにどこかぼんやりと酔った気分になるのはどうしてか。
「今から、どれだけ俺がお前を愛してるか、わからせてやる。覚悟しろよ」
耳元で低く囁かれ、そのまま耳朶を食まれると、紬花から声にならない声が漏れた。
それは、陽が初めて目にする紬花の反応。
もっと見たい。
もっと知りたい。
感情が、好奇心が、欲が、陽を満たして。
触れ合い、重なり合い、愛しいという想いを互いに伝え合うと、ふたりは幸福に包まれながら瞼を閉じた。



