自分はこんなにも素直に想いを吐露する人間だったのかと陽は驚くが、それは相手が素直な紬花だからだろう。
何より、棘のある言葉で紬花をいたずらに傷つけたくはない。
「いつだって触れたいし、抱きしめて、紬花を独り占めしたい」
ようやく手に入れたこの温もりと幸福を手放さないよう、想いをそのままに伝えると、口づけに酔いしれていた紬花は、そっと互いの唇の間に指を挟む。
「わ、私もです。陽さんをたくさん感じて、好きって伝えて、伝えられたい」
伝えてくれと強請るように、陽の濡れた唇を指でなぞれば、口角が少しだけ意地悪と上がった。
「好き? 残念だが、俺はそう思ってはいない」
「え……」
思っていないなら、なぜ付き合っているのか。
想いは通じあったはず。
そう感じていたのは自分だけだったのか、この二カ月、好きだと囁き口付けてくれていたのはなんだったのか。
心臓が紬花の不安を表して、ドクリドクリと嫌な音を立て始めると、陽はとびきり甘い微笑みを浮かべた。
「愛してる」
確かに声にし、紬花の手をそっとどかしてまた口付ける。
今度は先程よりも深く、想いを余すことなく伝えるように。



