俺様御曹司はウブな花嫁を逃がさない


***


「お風呂、いただきました」

「ああ、お前も飲むか?」


陽の上機嫌な声が紬花の耳を打つ。

ワイングラスを揺らし、隣に座るようにと陽は手招きする代わりにソファーを軽く叩いた。

紬花は「飲めないので」と断りながら、素直に陽の隣に腰を沈める。


「社長からもらったお土産ですか?」

「正解。こんなに美味いのに飲めないなんてもったいないな」


そう言って、陽はまた豊潤な味わいの白ワインを口にした。

いつもより表情が柔らかい。

きっと、博人との間に生じていた軋轢が落ち着いたからなのだろう。

それは、ワインをより一層美味く感じさせているのかもしれないと、紬花は頬を緩ませた。

陽がグラスをテーブルに置いたタイミングで、紬花は口を開く。


「あの、陽さん。私そろそろ家に戻ろうかと思って」

「そうか。父親は厳しいんだったな。よく世話のことを許してくれたじゃないか」

「いえ、その……女性の家ということにしてます」


歯切れ悪く言った紬花の苦笑を見て、陽はなんともいえない気持ちになる。


「そんな危険を冒してまで世話しにきてたのか」