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あれから月日がたち、1週間くらい経った。
あの後、私と畑中係長で女子社員から質問攻めを食らった。
寺島くんはどんな感じでしたか?とか
寺島くん彼女いそうでした?とか
まぁ、知らないと一点張りで突き通したけどね
面倒くさいから喋ってもないよと畑中係長があしらっていた。
まぁそんなこんなでこの一週間は、注目の寺島くんは事務所には来ないで、
本社会議やらなんやらに出席してるみたいで見ていない。
もう女子社員は意気消沈で、いつも通りの日常なのです。
ガチャッ
「おはようございます。」
「あ、あ、おはようございます。」「おはようございます、どうしたんですか!?」
なんて黄色い声の嵐で悟る。
寺島くん、来たのね。(いい女風)
「あの、事務所で今日は作業します。」
「じゃあわからないことは聞いて下さいね!」
そう名乗りをあげたのは女子社員の中で1番可愛い後輩、南 楓(みなみ かえで)ちゃん。
うわっ敗けた!という心の声が聞こえてきそうなほど女子社員がシーンとした。
「いや。大丈夫です。畑中係長に聞けって言われてるんで。」
なんの迷いもなく断った寺島くん。
さすがとしかいいようがない。
楓ちゃんは思いがけない返しにえ?と固まったままだった。
まぁ、その後、畑中係長と寺島くんでなにか資料作りを進めていたので女子社員は誰も入る隙はなかったようだ。
にしても、寺島くん凄いな。
そう思いながら、昼休憩を貰い食堂で休んでいると…
「まじ、ありえない。なんで楓が振られたみたいになるの?」
「ほんとだよー。寺島くんって変人なんじゃん?」
「かっこいいだけで性格悪いっつの」
後ろから聞こえる楓ちゃん含めて4人ほどの寺島アンチの嵐。
まてまて、お前らの方が大概だぞ。
私はどのポジションに入ればいんだよ。
「あ!高梨さん!高梨さんもひどいと思いますよねー?」
うわーーーっ、楓ちゃんに目をつけられたー!!
最悪だ。ここは空気を読むべきなの?
「寺島くん顔がいいってだけであんな無神経なんて思いませんでした。」
「こうなったら、悪い噂でもたててやろうよ。」
「それいいじゃーん。」
「イケメンだからって調子には乗らせないんだからね。」
いや、まてまて。
これは、いくらなんでも酷いよね。
仕事に私情を挟まないでほしい。
「高梨さんもそう思いますよね?」
こうやって同意を求めてくるってことは本当は後ろめたいんだろう。
しかたない、ここで私が止めておこう。
楓ちゃんは仕事ができて、気配りもできるし、少々性格に難があるいい子なんだもん。
ここで悪に染っちゃあダメだ!
『あのさ、楓ちゃん。私はそうは思わないし、文句があるなら寺島くんに直接言ってきたら?』
「はー?なんなの!」
本音を言うと、となりにいた楓ちゃんの取り巻きの先輩が反発する。
『あの、先輩だからとか後輩だからとか関係なく言います。そういう私情を挟むのは間違いです。』
言ってやった!ブルブルガクガクと震えて立っているが言ってやった。
「はー?生意気」「楓ちゃん可哀想」「高梨最低」
などと罵倒される。
いくらでも言えよ。もう、空気読むの疲れたし。
そもそも、職場の空気悪いの耐えられんわ
「よくいった!高梨さん。」
え
後ろから声が聞こえて振り返ると、
そこには拍手して満面な笑みの畑中係長と驚いてる寺島くんが立っていた。
『わお。』
なんて間抜けな声だというくらい率直な心の声が漏れた。

