あれから2日経ち、
あの日以来、ずっと飲みに誘われ、遅番で出勤という悪循環が続いてる。
あたまいたっ…
飲みに行くと必ず手を触られ、腰に手を当てられることがある。
気持ち悪くて最初は反射的に拒絶したけど、
「あれ?そういうことしていいの?仕事なくなるよ?」
などと言われ、従うしかなかった。
訴えればいいのだろうが、
どうせあと4日だ。
自分さえ我慢すれば、どうにかなる。
この1週間で下手に刺激して、移動を左遷させれても困る。
『はぁー。』
「どうしたの?」
ため息をついた途端タイミング悪く環くんが後ろから現れた。
『うわ!び、っくりした。』
馬鹿みたいに飛び跳ねてしまった
「なんか、顔色悪いね」
久々に会議漬けから抜け出し、事務所で作業している環くん。
環くんがいるだけでも少し楽なれる。
『大丈夫だよ。ありがとう』
それだけいってパソコンに目を向けた途端、
「おーい、高梨さん。」
中島係長に呼ばれる
やだ、行きたくない。どうせコピー機が使えないとか言ってまた腰でもおしりでも触ってくるんだろうか。
昨日だって資料を届けに行く度に手に触れてきたし。
気持ち悪い。
『…はい。』
私が中島係長の元へ行くと満面の笑みでこの資料なんだけどと言って、私を死角へ連れていこうとする。
デスクで言えばいいのに。
嫌だ。
そう思うけど、逆らったらダメだ。
畑中係長に任されてるんだから。
『この資料は…』
私の説明なんて聞いてもないのにうん、うん、と相槌を打ちながら肩を抱かれた。
もう、やだ。
そう思って目を瞑った瞬間。
「中島係長。」
これまで聞いたことの無い環くんの低い声が聞こえる。
「な、なんだね」
中島係長は焦って私の肩から手を離す。
私は目を伏せて拳を握りしめていた。
「高梨さんが困っています。こういうことをされるんであれば、人事へ行きますよ。」
環くんがそういうと、中島係長は何を言っているんだ!もういい!作業に戻りなさい。とそそくさと自分の席に戻っていった。
恥ずかしい。
こんなところ、環くんに見せたくなかった…
なぜか、そうおもってしまった。
「千鶴ちゃん、おいで。」
さっきまでの低い声とは違う、優しい優しい声に溢れそうな涙を堪えて、
私は環くんの背中を追いかけた。

