二人は帰る。
茉衣の実家に、茉莉とハルカを迎えに行く。遥紀はドキドキ。何故なら、茉衣の父親と弟に睨まれるからだ。

(娘を一度捨てたふしだらな男…。)

(姉ちゃんを捨てて泣かせた男…。茉莉ちゃんやハルカくんがいなかったらいくら姉さんが止めても殴り飛ばしていた。姉さんの未来を潰した。)

遥紀にもつくづく伝わる怒り。

「…。」

弟は呟く。

「茉莉の様子を見て、子煩悩なのは認める。よく慕わせている。でも茉莉を捨てた。…いないときにあいつの自慢して。そっくりだし。」


「お兄ちゃん、パパね、世界で一番カッコイイんだよ☆だってね、へへっ、優しくて、毎日、添い寝してくれて、甘えたら優しく抱っこしてくれるの。昨日、ハルカとパパとお風呂入ったの。ハルカきゃあきゃあ喜ぶんだよ☆へへへ…勉強も教えてくれて。カッコイイの!」

沙衣は、

「いいパパしてるのね。」
「ね…姉さん!?」
「あなたが責めるような人じゃない。遥紀さんも苦しんでいたのよ。お姉さんだけじゃない、苦しんで苦しんで、事実も知らずに、茉莉と会って、悩んで、後悔して、辛くて切ない別れをして、一生独身を覚悟して。」
「当たり前だ、あんな奴に未来などなかった。どん底に堕ちて、そのまま終えるような男だ。」
「やめなさい礼衣、みっともない!」
「姉さんは庇うのか?」
「私に刃向かうの、それはお姉さんへの侮辱。」
「姉さん…何であいつを選んだ…何であいつに甘える、カラダを預ける…。」
「愛してるから。運命の人だからだよ。聖華ちゃんと出会ったみたいに。」
「…わかっているけどあいつが裸の姉さん抱いてるかと思ったら複雑だ。」
「…子供がいるのだから…。」
「オレは至らないのか?…オレには子供がいない。いくら抱いても。」
「…授かりものだから仕方ないわ。」
「姉さんは一人いるだろ。」
「…礼衣には言っておくけど一人じゃないわ。今8週目なの。赤ちゃんがお腹の中にいるの。」
「…え?」
「まだパパやママには言ってないわ。夫以外なら礼衣に初めて言った。」
「…姉さん?」
「本当は悪阻きてるのよ。少なからずはね。」
「だ…大丈夫?」
「大丈夫よ。ほら、聖華ちゃん茉莉を可愛がってるよ。ハルカもね。行きなさい。」
「…はい。」


「でも…本当いい