「…日に日に遥紀に似ていく娘。娘が幼い頃、お皿洗いしていたら不意に遥紀の声が聞こえたお皿を落とした私。涙が出て来たの、見たことのない父親の声を毎日、娘に聞かせた。娘は父親の、遥紀の声の虜になった。…あの日、行きたいと甘えた娘と遊園地へ行って、再会してしまった。」
「何も知らない愚かで未練タラタラな男は娘を見て、結婚したかと思った。同時に、呪縛から解放されるかと思った。違った。…娘はオレの娘だ。確信したとき、捜して、問い詰めた。話してくれない。とぼけた。確信していたから置き手紙を残した。少しして、何とか呼び寄せた。茉衣は全てを話してくれた。」
「…。」
「駆け落ちした。でも、地獄だった…何も知らないオレと茉衣との仲を引き裂いた家族に娘はさらわれ、殺されかけた。…その時には新しい命が茉衣のお腹に宿っていた。病院で泣いて娘を身篭った過去を話した茉衣。陰で聞いていた家族が知った。意識を失って、昏睡状態なのは息子の娘。実の孫。父親は泣いて謝ってた。許されない事をしても自分の親だから、会って欲しいとせがんだ。悪阻で倒れた茉衣。妊娠に気付いて、話し合った。結婚しようと。プロポーズした。半年眠っていた娘。起きた時は、茉衣の妊娠にびっくりしてた。でも喜んでくれた。」
「私は幸せだよ。遥紀がいて、娘、先月産まれた息子がいる。…ねぇ遥紀、そろそろ下ろして?恥ずかしい…。」

遥紀は茉衣を下ろし、

「心配だ。先月ハルカを産んだのだぞ?無理に立たせてるのかと…。」
「疲れたら座るわ。ありがとう。大丈夫。筋肉使わないと、弱るわ。二人のママしてるの。」

ナオトは、

「ふう…口封じされてるの忘れてたから最初に言いそうだった。…ごめん。ゴシップされたとき問い詰めたら、家に連れてかれて、かわいい11才の女の子とお腹を膨らませた臨月の元カノで悲惨な別れ方だったはずのサナがいたから驚いた。でもよかった。あれからも好きなの知ってたから。元気出させようと合コン誘っても、ダメだ…と殻にこもる。結婚式はどうするの?」
「挙げるつもりでいる。」
「え…聞いてない。」

茉衣はびっくり。

「茉衣のウエディングドレス見たい。」
「…遥紀?」
「当たり前だろ。順番は間違いすぎだけど、茉衣が大切だ。」
「…遥紀。」

茉衣は涙。