人を恨むなんてできない。」
「…茉衣も子供達も守るから。茉衣は母親として、妻としていてほしい」
「…はい。」


隣のベッドの人は、

「聞いてはいけない事を聞いてしまったみたい…。」

と言う。

「…。」
「週刊誌に写真を撮られて、何て人だと思ってた。ここに来た時、旦那さんが写真の顔だったから、この人と思って、子供のいる人が誘惑して、既成事実を作ってものにした。と、ネットのカキコミ見たから。」
「…悪口ならいくらでも書けます。私達はお互い好きなまま別れていました。運命は不思議で、引き裂かれても、出会うことができた。そして、また惹かれ合ってしまいました。そしてできた命。感情は高校生の頃と一つも変わっていない。一生に一度の人です。」


茉莉と遥紀は、スーパーに二人。

「今日は何にしよっか?」
「う〜ん。何でもいい。茉莉もお手伝いするね。」
「一緒にしようね。パパは長いこと一人暮ししてたから料理には少しくらい自信があるよ。まぁ、ママには負けるけどね。」
「ねぇパパ、赤ちゃんの買わないの?」
「何が?」
「おむつとか。」

遥紀は笑顔で、
「茉莉もお姉さんだ。じゃあ探そうか。」


「パパ、プリクラ撮ろ?ママと3人ではあるけどパパと撮りたいな。」
「いいよ、撮ろうか。かわいい最愛の娘にせがまれたら嬉しいね。そういえばこうして話すのもママに内緒としていた頃以来かもね。」
「パパ話してくるんだもん。」
「あの頃は自分の娘だと知らずにただ、元カノの娘としか思っていなかった。でも話しているうちに惹かれていく。茉莉から離れなくなっていく。何故だかわからなかったけれど、血の繋がった親子だから気付いた。」
「パパ大好きだよ。パパも茉莉の事好きだよ。…そういえばおじいさんとおばあさんとおじさん、今はどう思ってる?」

茉莉は少し震えていて、

「…大丈夫だよ。」

遥紀は、

「…まだ少し怖いのだね。」
「…。」
「強要はしない。パパになって、二人の父親になって恨む事が間違いだと気付いた。…確かにしたことは許されない事だよ。でもパパが茉莉を守ればよかった。もっとしっかりしていればよかった。」


家、

遥紀は茉莉の為にテキパキと料理を作る。

「おいしい。」

茉莉はたいらげる