土曜日の朝、
(遥紀は土日は休み)
茉衣は、

「う…。」
「どうした?」

遥紀は気遣う。

「…陣痛来たかも…うぅ…。」

遥紀は、

「病院行こう。」

起きて来た茉莉は心配そう。

「茉莉もおいで。茉莉はお姉さんだ。」
「はい。」


病院、
着いた頃には陣痛はかなりひどくなっていて、すぐに分娩しなくてはならなかった。

「んっ…ああ!?」

茉衣は声を上げる。

「あ…痛いっ!…はぁ…はぁ…。」

遥紀は茉衣の手を握っている。
茉莉も、

「ママ…大丈夫?ママ!?」
「…大丈夫…これがないと生まれないからね…ああっ!!…ハルがいてくれて嬉しい…茉莉の時は…孤独で…寂しくて狂いそうで…全て一人で…ああっ!」
「側にいる、ゆっくり息を吸って吐くんだ。」

「…すっすっはぁ…。」

繰り返す。

「もうすぐだから。ずっといるから。」
「…うん。ああ!!!」

元気な泣き声。男の子だ。

「お疲れ様、ありがとう、茉衣。」

優しく声を掛ける遥紀に茉衣は疲れていても、

「ハル…抱いてあげて?」
「…茉衣。」
「パパが抱いてあげないでどうするの?」

遥紀は生まれたばかりの赤ちゃんを優しく抱く。
茉衣は、

「よかった…抱いてもらえた。」

涙。

遥紀は、

「茉衣も抱くんだ。」
「はい…。」

茉衣は、優しく抱く。

「ふふ、おちんちんある。かわいいね。」

茉莉は赤ちゃんの頭を撫でる。

「ママ、かわいいね。あ、笑ってるのかな?」

茉衣は、

「お姉ちゃんに撫でてもらえて嬉しいのね。」


病室に移動し、話す。

「男の子だね。」

茉衣が言うと、

「茉莉の弟だね。」

遥紀は言う。

「かわいいね〜。」
「当たり前だ。パパとママの子供だぞ。茉莉がかわいいなら赤ちゃんもかわいいさ。」

ぎゅっ。

茉衣は笑って、

「似た者親子。はぁ、夢だった、嬉しい…一生ないと思ってた。茉莉を身篭った時は、一生父親を知らずに生きていくと覚悟したもの。」
「…ごめん、茉衣。あの頃は妊娠、出産を知らずに、大学生として他県にいた。」
「恨んでいないわ。私は遥紀が好きだもの。好きな