クローバー

日曜日、茉莉はかわいく着飾る。

「パパ、ママ、どこに行くの。」

茉衣は、

「パパのおうち。」

遥紀は、

「何かあればパパに言うんだ。」
「はい。」


家に近づく。
車の後部座席で茉莉は茉衣のお腹を撫でている。


遥紀の実家。
遥紀は茉莉と手を繋ぐ。

「パパを信じるんだ。」

ベルを鳴らす。
遥紀の兄嫁が、

「ハルくんおかえり。」

迎える。
兄嫁は茉衣を見て、

「あら、もうすぐだね。」
「はい、お義姉さん。」
「いいのに…私の方が年下なのに。」

兄嫁は茉莉を見て、

「かわいい☆ハルくんに似てるね。」
「…それは娘ですから。」
「ごめんなさい…志紀に聞いた。私が出産で麻紀と実家に戻っていた時の話。…お義父さん、お義母さん、志紀がかなり落ち込んでるの。出てこれないみたい…。」
「…父さん達と会わしたい。」


遥紀らは上がる。居間には遥紀の両親と兄が。
茉莉は怯える。

「いやあぁぁぁ!!」

うずくまり、震えている。
茉莉に植え付けられている記憶。
遥紀は泣き震えている茉莉を抱き寄せ、

「大丈夫だ。パパのパパ、ママ、お兄ちゃんだ。怖くない。」
「やだ…。あぁ…。はぁ…はぁ…。」

息が荒くなる。
遥紀の父は、
「…すぐに消えない。…遥紀、いいよ。私達のした事は酷い事…。」

そこへ、

「お姉ちゃん遊ぼ?」
「ま…。」

遥紀と遥紀の兄はびっくり。
小さな女の子が茉莉にしがみつく。
遥紀は、

「茉莉、おねだりされてる。ほら、かわいいだろ?麻紀の前で、3才の女の子の前で泣いてられる?」
「…。」
「ねぇねぇ遊ぼ?」

おねだり。
茉莉は、

「…遊ぼっか?」

女の子はにっこり、

「へへっ。」

甘える。
茉莉に笑顔が少しずつ戻る。

「麻紀の力…か。」

兄が言うと、遥紀は、

「子供は正直だ。」

女の子は、

「パパ、楽しいよ♪」



「麻紀、よかったね。」

微笑む。
茉莉は顔がゆるむ遥紀の両親と兄を見て戸惑う
。遥紀と茉衣は、茉莉と麻紀を見て、安心して手を繋いでいる。
女の子は茉莉に、

「いもーと寝てるの。紀里たん。