面影のある50代の中くらいのおばさんと、茉衣と同じくらいの年の女の人。

「あなたね。」

おばさんは言う。

「…はい。」
「若いわ。29でしょ?」
「…はい。同級生です。」

若い女の人は、

「お姉ちゃんの好きなタイプかも。優しそうな人。」

母は、

「茉衣の所へ行きたい。」
「…はい。」


茉衣は茉莉に話し掛けている。

「茉莉…ママを置いていかないで…茉莉…茉莉。」

遥紀が来る。

「茉衣…。」
「遥紀。」

抱き着く。

「休むんだ。」
「ダメ。」
「外を見るんだ。」

茉衣はガラス越しに外を見る。

「…ママ。…沙衣(さい)。」
「呼んでる。茉莉は見ている。父親として話したい。な。」

ちゅっ

「はい。」


茉衣は外に出る。

「ママ。」

母は茉衣を抱きしめる。

「茉莉が死んじゃう。…守り続けた娘。」

涙。

「大丈夫よ。」

「茉莉は茉衣を置いてきなんかしない。」
「ママ…。」
「あの人がパパなのね。」

ガラス越しに、茉莉の髪を優しく撫でている遥紀。

「はい。」
「茉莉にそっくりね。優しい?」
「ママ…。」
「彼と寝た?」
「はい。…結婚を申し込まれました。」
「したい?」
「はい。」
「なら、しなさい。」
「ママ?」
「子供できたらいいね。」
「え?」
「茉莉も喜ぶよ。喜んで起きるかも。ほら見て?彼は優しいわ。茉莉を撫でてばかりいるのよ。」
「遥紀…。」
「彼、茉衣を心配してるわ。本当、茉衣を愛してる。」
「はい。」


遥紀は、茉衣の母と妹との別れ際、

「茉衣さんを下さい!…簡単に許して頂けないと思います。私は…茉衣さんを愛してます。茉莉を、大切な娘と過ごす事を許して下さい!」


ある日、遥紀は茉衣を迎えに行く。

「茉衣。…茉衣!?」

茉衣は倒れている。遥紀は茉衣を抱く。

「茉衣!」
「…遥紀。」

遥紀はナースコールを鳴らす。
医師が来る。気付く。


「奥様妊娠されてみえます。」
「本当ですか!?」

遥紀は喜ぶ。
医師は、

「ただし、娘さんの事で精神的ダメージがあり、流産しかけています。休ませないと赤ちゃ