茉莉は病院に運ばれる。
救急車の中で遥紀はずっと茉莉の腕を握る。

「茉莉を助けて下さい!愛する娘を!?」


茉衣は家にこもっていた。
目を腫らしている。

「茉莉…どこにいるの?」

電話。
茉衣は出る。

「…もしもし真田です…遥紀?」
「茉衣、茉莉の意識がない。○○病院にいる。早く来てくれ!…このままだと茉莉の命が消える。」
「茉莉が!?」

ふらっ。

「手術室にいる。1階だ。」

茉衣はうなだれる。

「茉莉…茉莉…。」


タクシーを呼ぶ。

「○○病院まで急いで下さい!…娘が…。」

運転手は、

「娘さんがどうされたのですか?」
「…意識がなくて、…命がなくなるかも知れません。…まだ10つなのに…一人娘。…茉莉が生き甲斐だった。…どんなに辛くても、…19で母になった私にいつも笑顔で。癒された…。」


茉衣は病院に駆け付ける。

「茉莉!茉莉ぃ!!」

叫ぶ茉衣。
遥紀は茉衣を抱き寄せる。
茉衣は自分を責める。

「私がもっと見ていたら、こんな事に!?…茉莉はパパに会えて本当に喜んでた。…あの子は父親の存在を知らずに生まれて来た。だからこそ愛情を沢山注いだ。幼稚園、パパのいないのに気付き、捜し始めた茉莉。泣いて、なんでみんなにはパパいるのに私だけいないの?と訴えた。私…何も言えなかった。ただ、抱くことしかできなかった。…茉莉の笑顔は遥紀に似ているわ。パパのDNA…。…それが愛しくてたまらなかった…。…茉莉が死んだら私生きられない!茉莉は私の命なの!」
茉衣は鳴咽を漏らす。
茉衣は震えている。


茉衣と遥紀は医師から、薬物反応があり、副作用のある可能性が高く、生きる確率は2割、生きても植物か障害を負うと聞き、茉衣は泣き崩れる。
遥紀は茉衣にキスをする。

「…茉莉の事、全て話します。」


「…茉莉がお腹にいることに気付いたのは、遥紀と別れて5か月くらいたった頃。ベッドから起きれずに、重くて、お腹が痛くて、短大を休んだ。トイレに行きたくなって、何とか立てた。」


「…重…い。」

ドン!!

「や…お腹が!?」

触る。

「!?」

見てみると、お腹がふっくら。さすると心臓の鼓動。鏡に写った姿。