一人の男は言う。


すると、

「茉莉、いるのか!?」

胸騒ぎを覚えた遥紀が来る。

「…パパ。」

遥紀は若めの男のひざの上でぐったりしている茉莉に気付く。

「この子は渡さないよ。」

「兄さん!」

遥紀は残りの二人に捕まる。

「親父、おふくろ、離せ!茉莉っ!!」

父は、

「あの女に似て憎い小娘だ。」
「兄さん、茉莉に何する気だ!」
「いたずら。お嫁にいけないカラダにしてあげる。セックスという名前の。」
「ヤメロ!!」
「パパ…パパ…パ…うっ!?」

「ゲホッ!!」

茉莉は血を吐き、気を失う。

「茉莉!」

父は、

「そんな子、死ねばいい。」

遥紀は、

「茉莉はオレの遺伝子を持つ子供だ!」
「嘘はいらん!」
「…離せ、離せ!!」

意地。
遥紀は茉莉を取り戻し、抱く。

「茉莉、しっかりしろ!」

茉莉は虫の息だ。

「…パパ…寒いよぉ…はぁ、はぁ…。」
「茉莉、寒いのか?」
「…寒い…寒…。」

ふっ…。

遥紀は、

「茉莉?い…息してない!?茉莉、茉莉!!」

触れる。
脈もない。
遥紀は、たくさんの息を吸い、人口呼吸をする。

「ハハハ、あの女へ復讐だ。大切なものを奪う!」
「…救急車を呼べ!早く!!」

睨む。
母は睨みに威圧されて救急車を呼ぶ。

「茉莉…大事なオレの娘…。」

何度も人口呼吸する。
茉莉の親指には二つのクローバーの指輪。遥紀が11年半前に茉莉の母、茉衣に贈ったもの。