もうほとんど先輩のクラスの勝利が目に見えてきた頃、私と奈緒は自分達の試合が行われるコートに向かった。
「「宜しくお願いします」」
相手クラスと並んで挨拶を交わす
一年生か…
前に並んでいた二人が私のほうを見て何か話しているのが見えた
ピーー
試合が始まるとみんな一斉に動き出す
私もボールに向かって夢中で走る
相手クラスの一年生が私の横に来て、先に進めないようディフェンスする
すると突然その子の肘が思いきり肩に当たってバランスを崩しかけた…
その後もずっと私の横に居て
不自然なほど体にぶつかってくる
ぶつかる度に笑われてる気さえするし
そして突然体に衝撃が走って、背中から痛みが全体に広がった
ずっと横に居た子が私の背中に当たって床に落ちたボールを持ってゴールに向かう
「杏大丈夫!?」
奈緒が心配そうに駆け寄ってきてそう聞いてくれる
みんな夢中で試合してるんだし、ボールが当たっちゃうのは仕方ないことだよね…
「大丈夫!」
痛む体を起こして奈緒に笑顔を向けた
そのまま試合は続いて
今度はさっきと違う子が私の横についた
この子の腕も私の体に何度も当たる
その瞬間が兄に殴られてる時と重なって
今だけ…もう少しだけ…って
必死に言い聞かせて耐える
「…っ」
何かにつまづいて床に思いきりぶつかってしまった…
横に居た子と目が合って、この子の足に引っかかったんだって気づく
できるだけ急いで体を起こすけど、みんなはもう反対側のゴール付近
足手まといどころか、試合に参加することすら出来てない自分が情けない…
