校門を出るまでにいったい何人とすれ違っただろう




せめて学校では平和に過ごしたいのに…




「兄に電話するんでちょっと待っててください」




先輩を睨みながらそう言い電話をかけた




待ち合わせ場所は家の近くの公園




私達が着く頃兄はもうそこに居て
優しく笑いかけてくる




「城ノ内くん?」




「そうですけど」




「わざわざ来てくれてありがとう」




「いえいえ」




「村瀬 真子 分かるよね」




「村瀬…?誰でしたっけ?」




「覚えてない?」




一瞬だけど気づいてしまった




先輩の言葉を聞いた瞬間




私を殴る前の顔してた…




「その人がどうかしたんですか?」




「知らないならいいんだ
すまなかったねわざわざ呼び出したりして」




兄は他人に本性を悟られることなんて絶対しない




城ノ内先輩はきっと気づいてない…