愛さずにはいられない

そこには車を停めてその隣に外に立つ仁がいた。
奈央を見て微笑みかける仁。奈央はその姿を見て不安そうな顔を見せる。

仁が奈央の表情に何かあったことを感じていると仁の携帯電話も鳴った。

奈央は何とかアパートの階段を降りる。そのころには仁は自分の父からの着信で奈央に何が起きているのかを知っていた。
「とりあえず病院に行こう。」
仁は助手席のドアを開ける。
「仁・・・どうしよっ・・・」
奈央は震える手で仁の腕をつかむ。
「大丈夫。大丈夫だから。落ち着け。」
仁は過呼吸になりかけている奈央の背中をさすった。

仁の声に、仁のぬくもりに、奈央は少し気持ちが落ち着くのを感じた。

何とか奈央は車に乗り込み仁の運転で近くの総合病院へ向かう。

連絡は奈央の父が現場で事故にあったという電話だった。