月曜日。
奈央は支度を整えると時計を見た。もうすぐ9時。
玄関に向かい、アパートの鍵を手に取る。
そのカギの横にはキーホルダーが並べられていた。

仁がデートをするたびに記念にと買ってくれるキーホルダー。
動物園や植物園、山村の観光地、海辺のカフェ・・・いろいろなところでの思い出がよみがえる。
そのどれもがうれしくて楽しい時間だった。

奈央はそのキーホルダーを見るだけで自分の頬がゆるむのを感じていた。

～♪
自分の携帯が鳴り奈央は仁かと思いディスプレイを見る。

スクリーンに出ていたのは『母』の文字だった。
「はい？」

その電話の内容に奈央は慌てて玄関の扉を開ける。