「じゃあな。部屋行け。」
仁がいつものように奈央が部屋へ入るのを見届けようとすると
「これ。」
と奈央は自分のバックから袋を取り出して助手席の窓から仁にあるものを渡した。
「なに？」
「クッキー。仁が好きな紅茶のやつ。」
「まじ？バレンタインか？」
「なわけないでしょ。お礼。」
奈央が微笑むと仁は照れ臭そうな顔をしている。
「お前、俺が今日迎えに来るってわかってたな？」
「今日は仁がモデルになって撮影してた日でしょ？きっと時間を巻いてきてくれると思って。」
仁が奈央をわかってくれているように、奈央も仁が考えていることがよくわかる。
「さすがだな。ありがとう。」
「こちらこそ。いつもありがとう。じゃあね。」
奈央は仁に手を振りアパートの自分の部屋へ向かった。

いつものように奈央が部屋のドアを開けると仁の車は走り去っていった。