「断ろうと思ってるだろう?」
仁の言葉に奈央はなにも返せなくなる。
「・・・」
黙ってしまった奈央の頭を仁がぽんと撫でた。
「そんな顔をさせたくて言ったんじゃないよ。」
「え?」
不意に顔を上げるとそこには少し寂しそうに微笑む仁がいた。
「・・・」
「俺の奈央への気持ちは嘘じゃない。本当にずっと好きだった。だからプロポーズしたんだ。」
「・・・」
「俺の今までの気持ちにこんな簡単に結果を出そうとするなよ。」
「・・・」
奈央は再び仁の顔が見られなくなる。
「俺はどんな答えでもあきらめない。どんな答えでも今までとかわらずにそばにいる。だからもう少し、考えてくれないか?」
「・・・」
「奈央」
仁に呼ばれて奈央が仁を見る。その表情はいつものように優しい穏やかな表情に戻っていた。