「いいよー。お姫様。」
仁はそう言って椅子に座っていた奈央の手をとり立たせると使っていた椅子を片付けた。

二人は手をつなぎ階段を降りる。仁は奈央の足元を見て気を配ってくれている。
「今日はどこに行こうか?」
「水族館がいい。」
「了解。」
こうして奈央と仁は二人の残り少ない時間を楽しんでいた。
時間を見つけては外食をしたり映画を見たり、手を繋いで散歩をしながら二人の時間を満喫している。
「チンアナゴのキーホルダーがいいな」
「いいよー。コレクションだいぶ増えたな。」
「うん。もう30個くらいあるかな。」
「そんなに?」
仁はどこかへ出かけるたびに奈央にキーホルダーを買う。
今も仁と奈央の暮らしているマンションの玄関に並べられていて、新居にもキーホルダーを飾るスペースを事前に作っていた。