仁は奈央が廣瀬に大きく頷くのを見て奈央の体を支えて奈央を立たせた。

すると奈央が仁の手をはなす。

仁には奈央が自分で歩き出すと言っているのがわかり、優しく微笑みながら背中を押した。

奈央はゆっくりとスタジオの中央にセットされたマイクを手にする。

廣瀬は機会を操作して絃の伴奏の入ったディスクをセットした。

奈央がふと振り返る。

そこは絃がいつも奈央を見つめていた場所。

そこには仁が立っていた。
奈央が仁を見ると仁は再びすべてを包み込むような笑顔を奈央に向けて頷く。

奈央が再び前を向くと絃の伴奏が始まった。