「はっ・・・はぁっ・・・」
奈央の呼吸が少しずつ早くなっていく。
「蓮水さん?どうしたの?」
さらに先輩スタッフがマイクを奈央へ近付け、奈央はふらつく足取りで一歩下がろうとしたとき、背中が誰かにぶつかった。
はっとして奈央が振り向くとそこには仁がいた。

自分にぶつかった奈央の肩に手を置き、優しく微笑んでいる。

「蓮水さん、この前のヘアスプレーのモニタリングのことでちょっと。」
そういうと仁は奈央の肩を抱いたままスタジオの外へと奈央を連れ出した。
奈央はほとんど仁に支えられて歩いている状態で、スタジオの外へ出ても呼吸が上がっていた。
「落ち着け。もう大丈夫。」
仁がそう言って奈央の背中を心地よいリズムでさする。
「はっ・・・ごめっ・・・はっ・・・」
奈央は過呼吸気味に仁へ話そうとする。
仁は奈央の体をギュッと抱きしめた。
「大丈夫。落ち着け。」
そのぬくもりに奈央の呼吸は徐々に落ち着いていった。