愛さずにはいられない

理恵の言葉に仁と奈央ははじめて来る産婦人科のシステムにへぇーと同時に頷いた。
「お手伝いしますね。はじめは緊張しますし、勝手がわかりにくいので。」
そういうと理恵は奈央の肩を支えながら仁に「こちらで座って待っていてください。なにかあれば声かけますから。よかったら雑誌でも読んでいてくださいね」というと奈央を案内し始めた。

「ご主人かっこいいですね。」
「まぁ。」
「心配そうで奥様を想われているのが伝わります。」
「・・・和田さんはご結婚されているんですか？」
奈央の質問に理恵が少し驚く。
「すみません。失礼なことを聞いてしまって。以前、父がこの病院の外科でお世話になって。その先生が和田先生とおっしゃっていたもので。何となく雰囲気が似ているかな・・・と。」
奈央が気まずそうに言うと理恵が満面の笑みになる。
「すごいですね！なかなか気づく人いないんですよ？そうです。外科の和田朝陽は私の夫です。」
「やっぱり。その時かなり気遣いのある方でお世話になったんです。優しそうな先生で、安心しました。」
「本人に伝えておきますね。きっと調子に乗るだろうけど。」
そう言って笑う理恵は幸せそうだった。