愛さずにはいられない

「体調、悪そうですね。そちらにかけていいですよ？問診表の記入はご主人が代わりに記入していただいても大丈夫です。」
奈央の顔色に気が付いた看護師が声をかけてくれた。
そのネームを見ると『産婦人科　看護師　主任　和田理恵』と書かれている。
前に父を見てくれた医師も和田という苗字だったことを奈央はふと思い出していた。
何となく雰囲気が似ている。

「ありがとうございます。」
そんなことを考えながら案内された椅子に座り、仁に問診票を記入してもらった。

「お願いします。」
記入した問診票を仁がその和田理恵という看護師に渡すとすぐに理恵は奈央のもとへ来た。
「初めての方にはまずお小水を取っていただいてから血圧や体重をはかっていただいて診察という流れになります。移動が難しければ手づくりお手伝いしますよ？」
理恵の笑顔は奈央の緊張をほぐしてくれるような優しさを感じた。
「一緒に移動するんで大丈夫です。」
仁がそういうと理恵は優しく微笑みながら仁を見た。
「ご主人の気持ちはものすごくわかるんですがここは婦人科と産婦人科の病棟なので、個々の待合室か、奥様の番の時のみ診察室の中かしか入れないんです。ごめんなさい。」