「絃・・・ありがとう・・・」

仁は自分よりも長く手をあわせていた奈央がそう言って顔をあげた時、どこかすっきりとした表情なことに気が付いた。

「行こうか」
そう言って仁が手を出すと奈央がその手を取る。



二人は手を繋いで歩き出した。


仁が奈央にプロポーズをしてからもうすぐ一年が経とうとしていた。

決して歩むスピードは速くない。
それでも一歩ずつ着実に前に進んでいることを感じながらまた新しい一歩を進んでいくことに仁も奈央も胸を張れていた。