愛さずにはいられない

「都合のつく日に事務所に来れるか?」
奈央は廣瀬の言葉に仁を見る。

「俺も一緒に行くぞ。」
奈央の気持ちを察して仁が奈央に伝えると奈央は廣瀬に頷いた。


その後すぐに廣瀬と別れた奈央と仁。
「大丈夫か?帰る?」
奈央は真っ青な顔をしている。
仁が奈央の背中に触れると氷のように冷たかった。
仁はすぐにスーツの上着を脱いで奈央の肩にかける。
「ありがと・・・。大丈夫。ショー見よう。」
奈央の言葉に仁は自分たちの座席まで、奈央の体を支えるようにして向かった。
ショーの最中も奈央の様子から目を離さない。
「大丈夫だよ。」
奈央がふと横を見るたびに仁と目があう。
その表情は心配な気持ちがあふれ出している。