愛さずにはいられない

奈央の言葉に仁は不安をぬぐえないまま奈央を見送った。

「おはようございます。長らくお休みをいただきありがとうございました。お世話になりました。ささやかですがみなさんにお土産を用意しましたので、受け取っていただけると嬉しいです。今日からまたよろしくお願いします。」
奈央は朝礼であいさつをした。
薬が効いているのか頭痛も収まっている。
「休んでいた分の状況は斉木から聞いてくれ。今日からまたばしばし働いてもらうぞ。」
「はい」
上司からの声に奈央は笑顔で返事をした。

奈央は午前はデスクワークに追われ、昼になり仁と待ち合わせをしたスタジオ近くの喫茶店へ向かった。
「奈央」
すでに店に入っていた仁が店内に来た奈央を呼ぶ。
「ごめんね遅くなって。」
「いや。俺もなかなかの忙しさでさっきついたばっかりなんだ。」
仁はすぐに奈央の顔色を見る。
「体調は?」
「もう平気。お腹すいちゃった。」