その後は仁と奈央の母が他愛もない話をしていたが奈央はずっとぎこちないままだった。


「ごめん・・・ちょっと眠ってもいい?」

車に乗り込むと奈央ははじめて自分から仁にそう言って座席を倒した。
「大丈夫か?」
仁がそう声をかけると力なく微笑んだ後すぐに奈央は眠ってしまった。

仁はそっとエアコンが奈央の体に直接当たらないように調節をしたり、後部座席から自分の薄手の上着を取り奈央の膝にかけた。

奈央は何をしても目を覚まさない。

・・・このまま目ざめなかったらどうしようかという不安が襲った。