-県立早乙女芸術高等学校-
私はいつも通り高校の正門を通る。
この高校に入学してから半年が経った。
ついこの間まであった暑さは何処へやら、今では弱くなった日差しと心地よく吹いてくる北風のおかげで丁度良い体温が保たれている。
正門から真っ直ぐに進むと学校玄関がある。そこでもいつも通りにローファーから上靴に履き替えるのだが…………
「…………はぁ…今日もか……」
私は【源 さつき】と記された下駄箱を開いた瞬間、またいつも通りにため息をついた。
そしていつも通りに学校玄関前にある自動販売機まで足を運び、その隣にあるゴミ箱の蓋を開けた。そしてまたいつも通りに落書きされた自身の上履きをゴミ箱から取り出して、それを履いて自分のクラスに行くのだ。
もう周りからの目も気にならなくなった。
ここまできてしまえば重症だろうか。