椋が追っていた檜山という男がいた麻薬組織。その残党がいた隠れ家を捜索している時に、椋の後輩が怪我をしたという話を聞いた。
 椋が檜山を追っていき逮捕されたと思った麻薬組織が椋を狙っているのではないかと考えているようだった。そのため、椋の部下、そして花霞が狙われて。そう警察は考えているようだった。

 その事により、椋は責任を感じ、いつも以上に仕事に明け暮れていた。家では、普段通りの優しい彼だけれど、スマホに連絡が来ると、すぐに鋭い目付きになるのだ。

 そして、最近ではほとんど使わなくなった彼の書斎。もちろん、花霞が入室禁止という条件はなく、掃除の時などによく入っている。その場所に籠って、また仕事をするようになってしまった。
 もちろん、書斎に顔を出せば椋は「どうした?」と、いつものように話をしてくれるけれど、花霞は元気がないように感じてしまうのだった。
 彼が元気がないのは当たり前なのかもしれない。
 そして、復讐がまた復讐を呼ぶのも必然なのかもしれない。


 けれど、麻薬によって身を滅ぼす人を増やして欲しくないと思うし、椋にはまた笑顔を取り戻して欲しい。
 そう、花霞は思い彼の事を心配していた。



 椋自身は自分の事よりも花霞を心配している。守られているばかりの自分が悲しかった。