椋は、急いで自分の車に乗り、自宅まで急いだ。その間、何度もスマホを見るけれど彼女からの連絡はなかった。
 自宅に戻るが、部屋は真っ暗で花霞が帰宅した様子もなかった。花霞の職場の上司である栞に連絡をしたけれど、少し前に帰ったという事だった。
 花霞の帰り道を辿れば会えるかもしれない。椋は車で行くか徒歩で行くか迷ったが、車では夜道で花霞を見落しがあるかもしれない。
 それに駅などに行くときは、車が邪魔になる場合が多い。
 そのため、椋は徒歩で花霞を夜道の中探すことにした。

 走りながらも、彼女にスマホに電話をするが、相変わらず花霞が電話に出ることはない。
 時間が経つにつれて、椋の焦りは大きくなる。


 花霞に何かあったら………。
 その事ばかりが頭を支配していた。


 「電車の中で寝ちゃったの」「スマホを職場に忘れてしまって……」「心配かけて、ごめんね」、申し訳なさそうに謝りながら、椋の前に現れてくれればいいのに。

 椋は夜道を走り回りながら、花霞の無事を祈るしか出来なかった。