夜中だけれど日付が変わる前の時間。
 今日の花霞は閉店までの勤務だったはずなので、まだ寝ていないはずだと椋は思った。
 もしかして、お風呂に入っているのかもしれない。そう思いたかったけれど、椋はそれは違うと気づいていた。

 椋の帰りが遅くなるのはいつもの事だけれど、必ず花霞に連絡は入れていた。
 連絡なしにこんな時間まで帰らないと、花霞は心配しているはずだ。そんな彼女からのメッセージもなく、そして電話にも出ない。
 どうしてなのか。

 花霞が電話に出れないような事が起こっているのではないか。
 そう考えるのが自然だった。



 「何が………『俺が守る』だよ………」


 花霞と結婚した時。
 そして、花霞が傷付いた時。
 椋は彼女に守ると誓った。

 それなのに、いざ彼女の身に何かが起ころうとしていると何も出来ない。
 仕事が忙しいから?そんな事は、理由にもならない。

 椋は仕事を全て捨ててでも彼女を守ると決めていた。警察として、そんな事はありえない考えなのかもしれない。

 けれど、椋にとって今1番大切なのは彼女なのだ。
 花霞がいるから、警察でまた働こうと思えた。そして、死にたくないと思えたのだ。

 そんな何よりも大切な彼女の安全を脅かすようなメールが届いた。たかがメールと思っていたのが甘かったのかもしれない。