椋が誠を止める。

 それは、過去の悲惨な記憶があるからなのか、警察としての勘なのかはわからない。
 けれど、彼の全てで誠を止めなければいけないと警報を鳴らしてきた。頭がガンガンする。
 椋は誠を追いかけるが、そこからは何故がスローモーションのように見えた。


 誠が近くのドアを開けた瞬間。
 カチッという不気味な機械音が鳴った。
 その音は一瞬で、次にピカッという光と爆風を感じた。

 椋の体は風により飛ばされ、床に叩きつけられる。
 「ぐっっ!」という、苦痛を漏らした声だったけれど、痛みは腰や肩などで、すぐに立ち上がることが出来るぐらいの軽い痛みだった。


 「おいっ!どうした!?」
 「爆発だっ!」


 周りの部隊の人々の声が聞こえる。
 けれど、椋には全てどうでもよかった。


 「……誠…………まことー!!」


 椋は爆煙が上る場所へと飛び込む。
 周りからは「おい!何してる、鑑っ!!」と呼ばれたが、そんな事を気にしている場合ではなかった。

 爆発の原因は、爆弾が仕掛けられたドアを誠が開けた事が原因だろう。という事は、爆発があった時に1番近くにいたのは誠だ。

 椋は煙の中を必死で誠の姿を探した。