『全部隊、所定の位置に着いた。今から投入を始める。カウント、5.4.3.2.1go!』

 「くそっ!」


 自分の決断力のなさに思わず悔しさを表す声が出た。が、もう止めるわけにはいかない。
 椋は拳銃を構えて、暗闇の先の部屋へと突入をする。
 半開きになっていた鉄の扉を体を使ってこじ開ける。
 
 他の部隊も同士に部屋に入る。
 大型ライトを持った部隊が部屋を照らす。
 そこは、工場の中心部のようだ。天井も高くどこかのホールのように広い部屋だ。けれど、そこには機械も何もない。

 そして、人影も全くなかった。

 居るのは、拳銃を構え、装備を整えた警察官数名のみだった。


 「だ、誰もいない……」
 「………ちっ。情報が漏れてたか」


 唖然とする誠の横で、椋は悔しさを滲ませながら言葉を吐きつけた。
 どんなに小さな組織となっても、すぐに姿を見せるような存在ではないようだ。やはり厄介な奴らだ。


 「他の部屋もありましたよね。何か残ってないか、調べてきます」
 「おい!勝手な行動は止めておけっ!」
 「大丈夫です。調べるだけです。」
 「誠、行くなっ!!」