「今日は組織の本拠地と思われるところに潜入する。やっと手に入れたチャンスだ。気を引き閉めて臨め」
 「「はいっ!」」


 上官の言葉に椋や誠は返事をし、準備を始める。今回は本拠地に潜入するということで、拳銃を所持する事を許された。
 ほとんど活動しなくなった組織だが、まだ捕まっていない人員も多いはずだ。隠れて組織を立て直そうと暗躍しているはずだ。
 そんな奴らが警察が潜入したとすれば何をするかわからない。
 椋は真剣な表情で作戦をチェックしていた。


 「鑑先輩、よろしくお願いいたします。今日、初めての突入なので緊張してるんですが………が、頑張りますっ!」


 肩が上がり、目が泳いでいる誠を見て、椋は思わず苦笑してしまう。初めての経験となれば誰もが通る道だが、あまりにも固くなりすぎだ。だが、誠はいつもならばPC越しに見えない敵と戦っており、目の前の生身の人間との対峙はほとんど経験していないはずだ。
 椋は誠の肩をポンポンッと叩いた。