「………椋さんにキスマークつけてもらう事あまりないから………その、嬉しいかも」


 花霞は頬を赤くさせ、はにかみながら微笑んだ。

 彼女の言葉、仕草、表情………全てが、椋をおかしくさせてしまう。
 それにこの瞬間、改めて気づかされた。


 「君は………本当にずるい」
 「え………」
 「可愛すぎるよ」


 椋は「降参だ」と言い、彼女の首元にポスッと顔を埋めた。花霞は「え?どういう事ですか?」と、困惑しているようだったけれど、椋はそのまま彼女の香りや髪や肌の感触を感じながら、にやける顔がおさまるまで待つしかなかった。



 しばらくして、顔を上げると、少し心配そうな彼女の顔。そして、視界には自分がつけたキスマークが浮かぶ白い肌が目に入る。


 「君を誰にも奪われたくないんだよ」


 椋はそう言って、キスマークの上にまたキスを落としたのだった。