「椋さんにプレゼントもあるのにな………」


 この日のために椋に内緒にしていたプレゼントもある。彼の驚いた顔を見るのがずっと楽しみだった。
 けれど、日付が変わってもなかなか帰って来ない。
 心配になりながらも、仕事の疲れがありウトウトとしてしまう。リビングのソファに座りながら、寝てしまっていると、ガチャンッと玄関から鍵を開ける音が聞こえた。それを聞いた花霞はすぐに飛び起きて、玄関へと急いだ。


 「おかえりない、椋さん!」
 「花霞ちゃん!こんな時間まで待っててくれたんだ………ごめん、遅くなった」
 「ううん。いいの………私がどうしても起きていたかっただけだから」
 

 花霞がそう言うと、椋は花霞に近づき「ただいま」とキスをする。彼の唇はひんやりとしていた。


 「何か嬉しそうだね。何かあったの?」
 「今日はクリスマスでしょ。椋さんにプレゼントがあって」


 花霞は「プレゼントするの、ずっと楽しみにしてたの」と言うと、椋は「プレゼントするのが楽しみなんだ」と、笑っていた。
 椋はスーツを抜いて、リビングのソファに座った。
 花霞も隣りに座り、椋の顔をジッと見つめた。


 「じゃあ、花霞ちゃんのプレゼント貰おうかな」


 ワクワクしている花霞を見て、椋は微笑みながらそう言ってくれる。
 花霞はこれ以上我慢する事が出来なくて、思い切り椋の体に抱きついた。
 てっきり何かを貰えると思っていた椋は、驚いて「花霞ちゃん?!どうしたの?」と、声を上げた。