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 フッと目が覚めると、部屋はすっかり暗くなっていた。窓からの月や星の淡い光が部屋に入り込んで幻想的な雰囲気に包まれていた。


 「ん………椋さん………?」
 「あぁ………起きたのか」
 「うん。椋さん、ずっと起きてたの?」
 「いや、少し前に起きた所。花霞ちゃんの寝顔眺めてた」
 「………恥ずかしいよ。起こしてくれればよかったのに」


 まどろみの中、そんな話しをしながら2人は「おはよう」と言いキスをした。


 「………なんか、幸せだな…………。椋さんと結婚してから、毎日そんな風に思うんだ。こんな風に過ごせるなんて、昔の私には想像出来なかった」
 「………沢山不安にさせると思ってたよ。危険な事もいろいろ経験させた。………俺が君を幸せに出来てるかな」
 「そんな事ないよ。私は椋さんがいるから幸せなの。………あなたがいなかったら、今の私もいない。椋さんが、大切なんだよ」


 いろんな事があった。
 彼を追いかけたり、蛍を守りたいと思ったり。泣いたり、悩んだり、傷ついた日もあった。
 けれど、それは全て椋が笑っていて欲しいから。椋と幸せに暮らしたいから。
 椋は花霞をたくさん助けてくれた。幸せにしてくれた。そして、愛する事を教えてくれた。

 そんな愛しい人と暮らせるのが、何よりも幸せなのだ。


 「私を見つけてくれて、ありがとう。椋さん」
 「………俺を愛してくれて、ありがとう。花霞ちゃん。今よりもこれから幸せにするよ」


 椋の優しい微笑みと声、そして言葉が花霞を蕩けさせる。
 これからも、ずっと彼と幸せな日々を過ごそう。

 花霞はそんな夢のような現実を噛み締めて、椋にキスを落とした。