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 椋は事件の報告やら後始末があり、その後は忙しく過ごしていた。
 けれど、花霞が体調を崩したり、2人の時間を取れていない事を知った滝川や上司が、椋にある命令を下したのだ。



 「突然、1週間の休暇だなんて………急すぎるよな」


 椋は青い空を眺めながら、そう呟いた。
 日本より暑い気温と、ジリジリと肌を焼く太陽の光。
 椋と花霞は急な休暇を貰える事になり、かなり遅くなったが新婚旅行に来ていた。
 時間もあるのでヨーロッパ辺りでもいいと言ったが、花霞は「王道のハワイがいい!南国のお花みたいなー」とリクエストがあり、南国に来ていた。


 「椋さん。どうしたの?」


 海から上がったのか、髪や肌が濡れた水着姿の花霞がパラソルの下で横になる椋を覗き込んだ。
 黒の水着を来た花霞。白い肌が更に際立ち、ほっそりとした体が露になっており、見る度にドキッとしてしまう。
 彼女の体は何度も見ているというのに、水着を着るとまた違った雰囲気になるから不思議だった。


 「また声掛けられただろ?」
 「……え、見てたの?でも、新婚旅行だって言ったよ?」
 「やっぱり声掛けられたか」
 「あー、椋さん、ズルい!!椋さんだって、さっき日本の女の人たちに声掛けられてたの見たよ!」
 「断ったよ、もちろん」
 「んー……!」


 花霞は怒った顔で隣のベンチに座って、椋が飲んでいたカクテルを口にした。
 そうやっていじける姿も可愛いと思ってしまうし、水着姿も本当ならば独占したいぐらいだった。
 それでも、彼女は海で泳ぐのが好きなようで、先ほどからずっと泳ぎに行ってしまっていた。