いろんな事を考えていた。
けれど、蛍がいた環境や暮らし、経験は花霞が想像していたものよりとても酷いものだった。もちろん、環境が悪いから何をしていいわけではないのはわかっている。
けれど、蛍はもがき苦しんでいたのだ。
そんな彼の気持ちをもっとわかってあげていれば………。あんな形で終わらせる事が正しかったのか。
蛍の涙を見て、花霞は戸惑ってしまっていた。
自分は間違っていたのではないか、と。
「もっと蛍くんの話し聞いてあげればよかった。早くに異変に気づいたなら、その時に相談していれば、誠さんを傷つけなくても済んだよね。私を連れ去る事もしなかったかもしれない。………蛍くんが笑ってたかもしれないよね。………私、蛍くんのために何もしてあげられなかった」
花霞は我慢していた涙が溢れ出てきた。
蛍が泣いている時、花霞は必死に我慢していた。「ごめんね。助けてあげられなくて」、そんな気持ちが胸いっぱいになり、蛍の泣き顔を見ているだけで切なくなった。けれど、蛍の前で泣いたらダメだと思った。笑顔で待っていようと決めたのだから。遥斗さんがそれを望んだように。
けれど、蛍が自首をしに行ってからずっと考えていた。
自分のした事は正しかったのかと。



