☆☆☆



 家に到着すると、椋はすぐにお風呂を沸かしてくれた。その間、ボロボロになってしまった服を脱いで部屋着に着替えた。
 椋はすぐにリゾットまで作ってくれたけれど、花霞は食欲もなく半分も食べられなかった。椋がせっかく作ってくれたのにと思い、口に運んだけれど、そんな花霞の姿を見て「無理して食べない方がいい」と、言ってくれた。

 そうしているうちに、お風呂が沸いた事を知らせる音楽が部屋に響いた。

 
 「花霞ちゃん、入っておいで。体を温めてゆっくりした方がいいよ」


 椋にそう言われたけれど、花霞は今1人になりたくなかった。
 誰かの傍にいないと、ダメになってしまいそうだった。椋は事件の事もあるから忙しいのに、甘えてはいけない。そう思いつつも、1人になるのが怖くて仕方がなかった。


 「花霞ちゃん?大丈夫…………?」
 「…………椋さん………あの……お願いが………」
 「うん。どうしたの?」
 「1人になりたくないの………だから、一緒にお風呂に入って欲しい………です」


 花霞がおずおずと尋ねてみると、椋はクスッと優しく微笑んでくれる。


 「そんな事か。いいよ、一緒に入ろうか」
 「うん……ありがとう」


 彼とお風呂に入るのは恥ずかしいなと思いながらも、ホッと安心してしまう。それは、椋だからだと実感しながら、花霞は彼に微笑み感謝の言葉を伝えた。