ハルトが警察官。
蛍はその姿を想像すると、何故がしっくりときてしまった。誰にでも優しく、明るい性格で裏社会には似合わない笑顔の持ち主。
ハルトの正体が警察官というのは納得出来てしまうのだ。
けれど、その考えを打ち消すために、蛍を頭を振った。
「違う!ハルトさんは、警察官じゃない!俺に嘘をついたりするはずがない………」
蛍はそう呟くと、すぐにPCに向かった。
ハルトがスパイだという証拠はない。ただの噂ならば、スパイではないという証拠を見つければいいのだ。
その日から蛍は寝る間も惜しんでPCの前で蛍の事を調べ始めた。
彼の素性はまったくもって普通のものだった。普通すぎて、気持ちが悪いぐらいだ。警察官という証拠もなければ、スパイではないという証拠は素性ではわからなかった。
そして、監視カメラを追跡して日頃の生活を追っていった。
それをとても平凡な生活をしていた。裏社会の人間なので犯罪は日常茶飯事だが、それ以外は女に会うことも友達に会うこともなく、組織の人間とのみ接触していた。椋という組織の人間と仲がいいのか、頻繁に会っているが、それ以外は普通だった。



