「風邪で人って亡くなることってあるんですか?」

大河の問いに、藍が答える。

「お年寄りや赤ちゃんならあり得るかもしれないけど、哲也さんはまだ二十代後半。あり得ないわ」

「なら、何か感染症にかかったとか?」

朝子の言葉に聖が首を傾げる。

「症状から考えると食中毒ではなさそうだし、肺炎でもないな……」

「哲也さんは海外旅行が好きだった。現地で感染した可能性もあります」

如月刑事の言葉に、藍たちは目を見開く。もしも大塚哲也の感染した病気が接触感染だった場合、多くの人が感染している可能性がある。

「それ、めちゃくちゃまずいじゃないですか!すぐにどこの国に行ったのか調べないと!!」

原刑事が慌て、如月刑事が「おい、落ち着け」と呆れる。冷静になって動かなければ行動しても意味がないのだ。

「私たちは、哲也さんが亡くなった病気を特定します」

「では、我々はどの国に行ったのかを調べます」

藍と如月刑事は真剣な目で見つめ合い、それぞれの仕事へと戻った。