高校に入り、1ヶ月が経った頃、俺は弟の蒼生(あお)から遊園地の無料券を貰った。

「俺、受験勉強しなきゃいけないから、兄ちゃん、友だちと行ってきてよ」

受験勉強なんてかっこいい事を言っているけど、人混みが苦手なだけ。

無料券は2枚しかなく、夏喜か桃華のどちらかは行けない。
本音は桃華と行きたいけれど、夏喜を仲間はずれにすると後が面倒くさそうだ。

学校に行き、夏喜に相談すると、

「あたし、いいよ~。
桃華と行ってきな」

予想外の言葉に嬉しくなる。

桃華が登校してくると、早速遊園地の話をする。

「行く!行きたい!!」

「じゃあ、今度の日曜日にしようか?」

「うん、わかった」

桃華と遊園地に行く約束をした。